リウマチとコーヒー・紅茶摂取の関連性：大規模疫学研究に基づく解説

「コーヒーを飲むとリウマチのリスクが上がるって本当？」
「毎日紅茶を飲んでるけど、リウマチになる可能性が高まるの？」
「最近リウマチの予防に関心がある。特に飲食習慣との関連について詳しく知りたい。」

あなたは毎日のコーヒーを楽しんでいますか？または、紅茶は欠かせないという方も多いでしょう。

しかし、これらの飲み物が我々の健康、特にリウマチのリスクにどのような影響を与えるのかについて気になったことはありませんか？

ここでは、大規模な前向き研究に基づくデータをもとに、これらの飲料とリウマチのリスクとの間の関連性を詳しく解説します。

論文の概要

今回ご紹介する論文は、「コーヒーの消費量と関節リウマチのリスク（和訳）」です。

項目	詳細
タイトル	Coffee consumption and risk of rheumatoid arthritis
著者	Elizabeth W Karlson, Lisa A Mandl, Gideon N Aweh, Francine Grodstein
掲載雑誌	Arthritis Rheum
掲載年	2003

研究の背景と目的

リウマチとコーヒー摂取との関連性についての従来研究

リウマチは全世界で数百万人に影響を及ぼす慢性的な自己免疫疾患で、その原因や予防法はまだ完全に解明されていません。

しかし、これらの研究結果は一貫性を欠き、例えばコーヒー摂取の量やタイプ（例：カフェインの有無）、また摂取量の変化を長期にわたって追跡した研究はほとんど行われていませんでした。

この研究が解決を目指す問題と目的

この疑問を解明するため、Elizabeth W Karlsonらの研究チームは、女性を対象にした長期追跡研究であるNurses’ Health Studyを利用して、コーヒー（カフェイン含有、デカフェ）、紅茶、全体的なカフェイン摂取量とリウマチの発症リスクとの関係を詳細に調査しました。

研究方法

調査対象者とデータ収集の概要

Karlsonらの研究チームは、Nurses’ Health Studyという、1980年から1998年までの間に12万1千701人の女性を対象にした長期追跡研究からデータを取得しました。

1980年から2000年までの期間で、新たにリウマチを発症したと診断された女性480人のデータを詳細に分析しました。

飲料の摂取量とリウマチ診断の関連性評価方法

チームは飲料の摂取量（コーヒー（カフェイン含有、デカフェ）、紅茶、全体的なカフェイン摂取量）とリウマチ発症リスクとの関連性を評価しました。

使用した統計モデルと調整変数について

飲料の摂取量とリウマチ発症リスクとの関連を評価するため、チームは年齢を調整したモデルと多変量Cox比例ハザードモデルを使用しました。

また、以前の研究との直接的な比較のため、飲料の基準時点情報だけを用いた多変量分析も行われました。

研究結果

デカフェコーヒー摂取とリウマチ発症リスクとの関係

デカフェコーヒーを1日4杯以上摂取する人と全く摂取しない人との間でリウマチ発症リスクを比較した結果、有意な関連性は見られませんでした。

多変量モデル

多変量モデル（Multivariate model）とは、統計学における一つの分析手法で、複数の変数を同時に考慮に入れることができます。

コペン

簡単に言えば、たくさんの要素が一緒に絡み合って結果を生み出すような状況を分析するのに役立ちます。

例えば、ある病気が発症するリスクを調査する場合、年齢や性別、生活習慣、遺伝的要素など、さまざまな要素が影響を及ぼす可能性があります。

多変量モデルを用いると、これらの要素を一度に考慮することで、それぞれの要素がどの程度影響を与えているのかを明確にすることができます。

カフェイン含有コーヒー摂取とリウマチ発症リスクとの関係

カフェイン含有コーヒーの摂取とリウマチ発症リスクとの間にも、1日4杯以上の摂取者と全く摂取しない者との間で有意な関連性は確認されませんでした。

総コーヒーおよびカフェイン全体の摂取とリウマチ発症リスクとの関係

全体的なコーヒー摂取量（カフェイン含有およびデカフェを合計したもの）や全体的なカフェイン摂取量とリウマチ発症リスクとの間にも、有意な関連性は認められませんでした。

紅茶摂取とリウマチ発症リスクとの関係

紅茶の摂取とリウマチ発症リスクとの間にも、1日3杯以上の摂取者と全く摂取しない者との間で有意な関連性は確認されませんでした。

結論：コーヒー（デカフェ・カフェイン含有）および紅茶の摂取とリウマチ発症リスクとの関連性

この大規模な前向きコホート研究によると、コーヒー（デカフェもしくはカフェイン含有）、紅茶の摂取と女性におけるリウマチのリスクとの間には有意な関連性が見つけられませんでした。

デカフェコーヒー、カフェイン含有コーヒー、全体的なコーヒー摂取、全体的なカフェイン摂取、そして紅茶摂取とリウマチ発症リスクとの間に有意な関連性は確認されなかったという結果は、これらの飲料がリウマチの発症リスクを高めるという懸念を和らげるものです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。最後に今回の記事の内容をまとめて締めたいと思います。

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